「たけのこ」 この頃、静岡産のたけのこが随分安く売られている。 安さに釣られ昨日と今日で5キロほど買い込んでしまった。 この「たけのこ」を煮ていると、思い出すことが幾つかある。 そのひとつが親父の命日である。 数年前の4月、兄弟で親父の部屋の片付けをした際、冷蔵庫内に親父がこしらえたと思われる「筍の煮物」を発見した。 筍だけでなく厚揚げだか、さつま揚げだか、何かと一緒に炊き合わせた1品だった。 俺はちょうど小腹が空いていたので、その場で生前親父がこしらえたと思われる「冷たい筍の煮物」を独り食べた。 たけのこの季節、その記憶が甦ってくるのだった。 「たけのこ」 そんなあだ名の客もいた。 そいつは俺の3つぐらい年上で近所に暮らしていたが、何年か前に病気で死んだとのこと。 そいつにはいつもジョージ・ハリソンとイアン・デューリーをかけさせられたのを覚えている。 「たけのこ」はその頃まだ40代という若さだった。 先日、ザ・ローリングストーンズの来日公演帰りの客が来店、それは懐かしい客であった。 俺は「Nちゃん」と呼んでいるが、バレルの元名物アルバイターのS方と元同僚なのでひと周りくらい上。ということは58歳くらいなんだな。S方も生きていたらそうやねぇ・・ Nちゃんはストーンズの東京ドーム公演でS方の遺影をかざしつつ鑑賞したそうである。 その夜は酔っ払ったせいか、その話聞いてもらい泣きしたんだよなぁ。 そして思ったよ、 「俺も遂にジジイの仲間入りしたんだなあ・・」 とな。 さて、 明日バレルハウスは休みであーります、 おや? げげげーっ! 奇しくも明日は「佐方しんじ」の命日じゃねーか! 言っときますが、 明日はな、佐方よ、お前さんと一緒に遊びに行くのは絶対嫌ですからねーだ! 「そんはよー、あいかわらず、ひとことおおいよなぁ・・」(ってか?)
山口県宇部市出身。食材と出会っては仕込むことを生き甲斐とし、その辺の居酒屋より安く安全でマシなものを提供していると自負する池袋ROCK BAR店主による文